そらもおおわぬ星を透かしながら
陽がたびかさねその顔をのぞかせるように
月に染まりてそうするように
詩吟が放つその命さえ奪いかねない
その輝きをさえぎるものを。

このゆかりんの胸にはなにひとつそなえていない。
その目配せにはまだ陰りがない。
乳当てを戴くにしても、その胸部は冷ややかすぎる。
やがてのちには、その鎖骨のあたりから
花園のバラが背高く伸び、
花びらひとひらずつしっとりと、
その口の顫えに散るのだが。

つぐまれた口は、使いもしないのに、つや光りして
そのかすかな微笑のみが、まるで何かを啜るかのように
まるでその歌が体を流れるようにしている。
最近のコメント